[1999.09.14]
  想像力の破綻と人間の失墜


 ▼コンピューターは人間以上に創造的?(WIRED News)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/3053.html


 新しく発見された太宰治の小説が,実はコンピュータによって書かれたものだった,というのは簡単に起こりえる,というお話。

 「コンピュータが作り出したアイデアは,創造性に関して言えば,人間のアイディアよりもかなり高レベルのものだった」と,『サイエンス』誌に,ヘブライ大学の研究者,ジェイコブ・ゴールデンバーグ氏らは述べている。これは人間が作った広告案と,コンピュータが作った広告案を比較した結果によるもの。コンピュータは,広告の賞を受賞したものにみられる単純な公式を利用して,プロの広告制作者に匹敵する案を創出した。

 コンピュータは,道具でしかない,と常に頭の中にあった。あとは,使う人間次第。人間の能力があってはじめて,コンピュータは最高の仕事をする。と,思っていたのだが…。コンピュータに想像力の公式を教えることによって,人間の非常に狭い想像力の幅を簡単に突き抜けるほどに,コンピュータは作品を創出することができる。それはもう,人間を完膚無きまでに打ち崩す。

 たとえば,文学作品。太宰治の小説には,おおまかに35個のレトリックがちりばめられている,という。自分の存在を意図的に卑下する表現,他者を神の視線から見つめそのフィードバックを弱い自分に戻す表現,ある事柄に対して期待をすることとそれが裏切られることを看破する表現,などなどなど…。それを緻密に分析し,その35のレトリックを巧みに使いこなせば,太宰治の小説を新たに作ることも可能になる。そして,その作業をするのに,コンピュータはこの上なく向いている。将来,すべての作品は,コンピュータのコードナンバーを作者とする,かもしれない。人間の,唯一持っていた存在意義の,無くなる日が来る。


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